カメがウサギにドンブリ勝負

山種美術館 ゆかいな若冲 めでたい大観 -HAPPYな日本美術-②

山種美術館で開催中の、『ゆかいな若冲 めでたい大観 ―HAPPYな日本美術―』展。
ブロガー内覧会へ参加させていただいた時の様子その②でございます。

①は、コチラ

※ 記事内の写真は、すべてブロガー内覧会で
  撮影許可を得たものです。



①では、伊藤若冲の作品を中心に、というか
伊藤若冲の作品しか出せなかったので②は若冲以外で、
とも思いましたが。

【特別展】伊藤若冲 生誕300年記念というサブタイトルもついてますし、
せっかくですから残りの3点もご紹介。

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伊藤若冲 【大根図】
主役が葉っぱというのが面白くて。
写真では分かりにくいと思いますが、右上に蝶が2匹描かれています。


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伊藤若冲 【仔犬に箒図】
ぽってりとした姿が、顔の表情が見えなくてもなんとも可愛い。
動物って、くるっと丸くなっている寝姿も可愛いな、と。
箒の上に、ちょっと乗ってるのに無頓着に寝ちゃっているところも
ああ、犬ってそんなとこあるよねぇ、と一人納得。

この絵は、昨年サントリー美術館に展示されたのと同じ作品なのかしら??
今回の絵は、どこから借りてきたという記録が図録にはなかったので。
ちなみにサントリー美術館に展示されたのは京都・細見美術館の物だそうで。


で、細見美術館のホームページを初めてみてみたら
むむむ、これは!
私が好きそうな作品を多数所蔵してそうな予感。

しかも、今後の展覧会のお知らせ3に『伊藤若冲』展の文字!!
2016年6月25日(土) ~ 9月4日(日)とのこと。

詳しい内容は、まだ出ていませんでしたが勝手に期待が高まります。
って、行くつもりなのでしょうか?


伊藤若冲 【亀図】
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こちらも初公開マークがついておりました。

な、なんでこんなに可愛く描けるのかしら。
ちょっと首をすくめているのと、首を伸ばしている亀。
何か、会話をしてるように見えなくもない??
余白と絵のバランスが、なんとも絶妙な感じだな、と。


さて、若冲の作品は順不同にご紹介しましたが。
これからは、なるべく展示順に私が気になったものをご紹介。

第1章 愛でたい、めでたい、HAPPYな日本美術

長寿のシンボル 鶴と亀

河鍋暁斎 【浦島太郎に鶴と亀】
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おお、これは見覚えがあります!
昨年の三菱一号館美術館 『画鬼 暁斎』展にもありました!!
あぁ、嬉しいなぁ。また会えた。

この浦島さん、キリリとカッコよくて好きなんです。
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そして、今 図録を見て愕然。

鶴の絵の下、水の部分に鯉がいる、と。
完全に見落としておりました。なので、写真でも鶴の部分しかズームしていないという。
とほほ。
これから行かれる方は、どうぞ確認してみてくださいませ。


縁起物のマルチプレーヤー 松竹梅

横山大観 【寿】 山種美術館所蔵
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この書体は、何というのでしょう。
なんとも楽しそうな寿。背景には金泥で松竹梅が。


横山大観 【竹】 山種美術館所蔵
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絹本裏箔という技法が使われているそうで。
なんとなく、やわらかい光を放っているように見えるのは
絹目からもれる金の輝きだそうです。

若冲の筋目描きや、この絹本裏箔のような日本画の手法が
説明された簡単なガイドブック欲しいなぁ、と。
何かオススメありましたら、教えてくださいませ。


幸運をもたらす神 七福神

下村観山 【寿老】 山種美術館所蔵
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キリリっとした寿老の表情と対比して、この鹿の うっとりとした安心しきった表情。
この作品、かなり私の好みでありました。

なるほど、七福神のお一人である寿老人は、鹿を連れて、巻物を先につけた
杖を持つ、というのがお決まりなのですね。
鹿を連れているとは知りませんでした。

近くで見ると、にじみが見せる美しさに魅せられました。


聖なる山 蓬莱山と富士山

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左から 小松均  【赤富士図】  山種美術館所蔵
     横山大観 【心神】  山種美術館所蔵
     小林古径 【不尽】  山種美術館所蔵
     新井洞巌 【蓬莱山境図】 山種美術館所蔵 

当たり前ですが、同じ富士山でも本当に色々な表現方法があるなぁ、と。


くらしに息づく吉祥

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左 : 河鍋暁斎 【五月幟図】
右 : 柴田是真 【円窓鐘馗】 山種美術館所蔵
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【円窓鐘馗】 の鬼は、一喝されて這う這うの体で逃げ出してる感じが
とても可愛らしくて。なんだか、かくまってあげたくなってしまうのでした。
写真では見えにくいですが、細かく金が散らしてあるのも美しく、赤の色も深みがあり
とても鮮やかながら、不思議と落ち着いた雰囲気の、かつユーモラスな絵でした。
この絵も、個人的に大好きです。


生きものにこめられた吉祥

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竹内栖鳳 【艸影帖面・色紙十二か月のうち「鯛」(一月)】
山種美術館所蔵

竹内栖鳳の絵が大好きです。
2013年に東京国立近代美術館で竹内栖鳳展があったそうで。
なぜ、その時に自分は竹内栖鳳を知らなかったのか、と。
地団太を踏んでおります。

という訳で、まずは山種美術館が所蔵している彼の作品を全て見ることを
密かな目標としておりまして。

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山種美術館のミュージアムショップで、このような小冊子を発見。
興味のある方は、ショップで見てみてくださいませ。


新春を寿ぐ 愛されキャラクター・干支の動物

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左 : 小林古径 【猿曳】 山種美術館所蔵
右 : 川合玉堂 【猿】  山種美術館所蔵
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パッと見たとき、猿が逃げ出しているのかと勘違い。
ちゃんと細い紐でつながれているのでありました。


第2章 HAPPYになる絵画


笑い・ユーモア

歌川国芳 【両面相 だるま・げどふ、伊久・とくさかり】
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絵をさかさまにしてみると、違う図柄が見えてくるという仕掛け。
落款や版元印も双方にあり、天地がどちらになってもいいようになっているそうです。

ちなみに”伊久”とは歌舞伎の「助六由縁江戸桜」に登場する”伊久(いきゅう)”。
”とくさかり”というのは能の「木賊(とくさ)」に登場する老人だそうで。

昔の人には常識だった歌舞伎や能の知識があれば、もっと作品を見たときに
瞬時にその面白さが分かるんだろうなぁ、と。
日本画に限らず、西洋もそうなんですが......


幸福な情景

ここにある山口華揚の【生】という作品。
私、大好きでして。

山種美術館で見るのは、今回で3度目。
何度見ても美しく、可愛らしく、見とれてしまいます。
展示風景としてなら写真撮影も可能(単独での撮影不可)とのことでしたが。

両脇が撮影禁止作品では、いかんとも撮影は難しく。
泣く泣く諦めました。
でも、私の下手な写真よりも、ぜひあの色合いをご自身の目で
確認いただきたい!と勝手に強く推薦。

戦前に見た光景を、いつか描いてみたいと思い続けて
この作品が誕生したのは昭和48年のことだそうです。
それだけ長い間、山口氏の頭の片隅に住み続けた光景が
長い長い年月を経て、この作品に繋がったのかと思いながら
ついつい見とれてしまうのでありました。


長くなった内覧会の様子は、これにて終了です。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。


そうそう!

期間中展示替えがあるそうで。
2月9日から、歌川国芳の【きん魚づくし ぼんぼん】とか、同じく国芳の
【其まゝ地口猫飼好五十三疋】が展示されるとのこと。
(どの作品かは、山種美術館ホームページのコチラをご覧くださいませ。)

うーん、その2点も見たいなぁと思う今日この頃です。
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# by yui_usakame | 2016-01-26 21:30 | 美術展 | Comments(0)

ナショナルシアターライブ 『ハムレット』を観るまでの話を長々と。

ナショナルシアターライブ。
(以下、省略してNTライブと書かせていただきます)

英国にあるロイヤル・ナショナル・シアターで上演された舞台を映像化して
映画館で上映するという。

私が、この存在を知ったのはカンバーバッチ氏経由でして。

それは、遡ること2年前のこと。
『フランケンシュタイン』という舞台を映画館で観られるらしい、という情報が。
なんでも、共演のジョニー・リー・ミラー氏と共に、2012年度の
ローレンス・オリヴィエ賞主演男優賞受賞した作品らしい、と。


舞台終了後、自分のバイクに乗って帰っていくカンバーバッチ氏の映像を
見たことはあっても、

舞台での写真を数枚見かけたことがあっても、

舞台が映画化され、その作品を日本でも見られるとは思わなかったので
ものすごく驚いたし、嬉しかった記憶があります。


という訳で、必死になってチケットを取りまして。
抽選だし、どこの席になるかも分からないし、という状況でしたが
もう一生に一度のチャンス!!とばかりに。

抽選に当たらないかもしれない、どうしよう、どうしよう。


結局。

チケットは、あっけないほど簡単に取れたものの。
観に行こうとした前日に記録的な大雪が降り、交通機関に影響がでて。
自宅から駅までのバスも運休。泣く泣く断念。

翌日、なんとかバスも動いたので再びチケットを取り直して観に行った記憶が。


その後、あちこちの映画館でNTライブの上映が始まって。
ええ、喜ばしいことです。ちょっと、拍子抜けしたけれど。ほほほ

あの時、私のように出演者のファンの方々、演劇が好きな方々がチケットを
予約したことで
これは、上映しても大丈夫!という劇場側の判断に少しは貢献したと勝手に思って
おります。ええ、妄想です。


日本での記念すべきNTライブ第一弾の『フランケンシュタイン』に始まり、
これまでに『ザ・オーディエンス』、『スカイライト』という作品を観まして。
そして、ついにNTライブ2016のトップバッター『ハムレット』を本日観ることが
できました。


正確に書きますと。

カンバーバッチ氏の『ハムレット』を観るのは今回で2回目。

字幕なしでもよければ、と一晩限りの上映が昨年11月上旬にありまして。
まぁ、これも応募者が集まれば、という条件付きだったもので。
もしかして、成立しないかもしれないとハラハラしつつ。

そうです、これまた杞憂で希望者が集まり上映されて。
英検四級の私が、英語字幕なしで約三時間。

たっぷり堪能しました。役者さんの表情や、舞台セットを。
でも、名前とか簡単な単語以外全滅という。

それが!
今日は、ちゃんと字幕付きで。ありがたい、ありがたいことです。
関係者の皆様、ありがとうございます。

TOHOシネマズ日本橋で9:30~の回を観たのですが。
ほぼ、満席だった気がします。すごい人気だなぁ......


週末は雪が降るぞー、大変だぞーという予報を見てましたので
2014年の再来か!!と泣きたくなりましたが。
本日とても良いお天気で大変安堵いたしました。


いずれ『ハムレット』自体の感想を書きたいな、と思う今日この頃です。
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# by yui_usakame | 2016-01-24 22:08 | Comments(0)

山種美術館 ゆかいな若冲 めでたい大観 -HAPPYな日本美術-

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2016年1月3日~3月6日まで、山種美術館で開催されている
『ゆかいな若冲 めでたい大観 -HAPPYな日本美術-』展。

1/11に内覧会があり、参加させていただきました。

※ 記事内の写真は、すべてブロガー内覧会で
  撮影許可を得たものです。



伊藤若冲 生誕300年記念ということで、どんな若冲作品に出会えるのか
わくわくしつつ、会場へ入りますと。

もう、そこに
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伊藤若冲 【河豚と蛙の相撲図】

なぜ、この2匹の取り合わせなのか?!
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蛙が”への字口”なのに、河豚は何だか余裕な表情。

これは、蛙が劣勢なんだろうか?!などと妄想しつつ見るのが楽しい。
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墨の濃淡の美しさ。

今回の展示で、伊藤若冲の作品は11点。
そのうち、山種美術館所蔵作品は1点。

それが、この伊藤若冲 【伏見人形図】 山種美術館所蔵
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布袋様の土人形=伏見人形かと思っていたのですが、
そうではなくて布袋様の他にも、キツネや相撲取り、かまどなどなど
種類があるみたいで。
伏見稲荷大社の信仰とともに発展したのが伏見人形、とのこと。

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土人形の質感を、岩絵の具を使うことで表現しているそうで。
一体、一体が微妙に表情が違っていて。
はて、最初はどの布袋様から描いていったんだろうか、とか余計なことまで
考えてしまいました。


そうそう、それで伊藤若冲作品。
残り10点の中に、初公開作品があるというではないですか!!

あるところには、あるんですねぇ......
まだ公開されていない若冲作品、どれくらいあるんでしょうかねぇ。


どれが初公開作品なのか?は、作品紹介のところにマークがありまして
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黄色い「初」マークがついております。
なので、見落とす心配はないかと思われます。

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初マークがついていた伊藤若冲 【布袋図】
おっとりとした、それでいて力持ちな感じが、とても可愛くて。
見ていると、なんだかいいことありそうな気がしてきました。
 
もう1点、伊藤若冲 【布袋図】 こちらは初マークなし。
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ものすごい福耳と、おなかのムチムチ感が忘れられません。

若冲の描く布袋図は禅宗絵画としての体裁を備えたものが多いけれど、
今回展示してある2点の布袋図は吉祥性を意識して描いた可能性が
高いと説明にありました。


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左 : 伊藤若冲 【大黒図】
右 : 伊藤若冲 【恵比寿図】 こちらに初マーク

大黒図と恵比寿図はセットで描かれることもある、と図録にありました。
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抱きかかえられた魚(鯛?)の表情も好きです。

大黒図のアップも撮影したと思っていたら、ありませんで。

内覧会に慣れておらず、時間配分が難しくて。

絵を見たいし、写真撮りたいし、解説も聞きたいし、と。
でも、人だかりがしていて撮影できないな、先にあっちを見よう。
おっと、この作品は撮影禁止だった、危ない、危ない、と。
最後に、ゆっくり和菓子も味わいたいし急がなくっちゃ、と。

はい、言い訳です。

山種美術館さんのブロガー内覧会では、最後に菓匠 菊家さんの和菓子が
食べられるのも、なんとも魅力的でして。
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展覧会に合わせ特別に作られた和菓子の見た目の美しさ、その美味しさが
鑑賞後の心地よい疲れに効くのであります。


私が密かに狙っていた”招福”は大人気だったようで、すでになく。

2番目に狙っていた”えびす鯛”をいただきました。
鯛に釣竿と糸があしらわれた、杏入りの練切り。

満足でございました。杏が大好きなので、嬉しい驚きでした。
いつも、最後に時間がなくてパクパク食べてしまうので
今度はCafe椿で、ゆっくり寛ぎつついただきたいと思います。


と、話が大幅にずれました。

こちらも初マークがついていた 伊藤若冲 【海老図】
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小触角が大触覚に くるんと巻き付いている様子が可愛らしくて。

昨年、サントリー美術館で展示された【海老図】は、同じ構図ながら
上田秋成の賛が。


そして、若冲作品の中で今回一番ピカ!と目立っていたのが
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伊藤若冲 【群鶏図】
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勇ましい表情もあれば、どことなーく おとぼけな感じのものもあって
右から、ずーっとみていって
左から、ずーっとみていって
飽きずに見ていたら、アップの写真を撮り忘れました。


屏風や掛け軸を見るとき、どの位置から見るのが一番正しいのか
未だに悩むことがありまして。
普通に立った状態だと、高い位置から見下ろす感じになってしまうし
かといって、床に正座する高さではいかんせん低すぎるだろうし、
そもそも会場でそんなことしたら邪魔だし。

中腰?中腰ですかねぇ。と、答えが出ないまま
長くなりましたので、次回へつづく
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# by yui_usakame | 2016-01-23 17:20 | 美術展 | Comments(2)

節分に来るそうです

今年の1月3日。

ぼんやりとインターネットを眺めていたら、
ただいまAmazonでDVDのセールをやっている、という情報が
流れてきまして。

ほほー。
どれどれ。

見てみようじゃないですか。


そう軽く思ったのが大間違い。

もう、何年も前から欲しかったブルーレイボックスが
お安くなっていたんですよ!!
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60%オフ?!
ほ、ほんとに??


そして。

昨年末に発売されたばかりの、名探偵ポワロのブルーレイボックスも
お安くなってる!!

すべて購入すると
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本日(2016年1月22日)Amazonをのぞいてみたところ、
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3点すべて購入で¥73,946.-。

なんと¥25,562.-もの差額!!!

じーん......


年末ジャンボが高額当選したわけでも、
誰かがお年玉くれた訳でもないのに、
新年だからって、自分を甘やかした自分。

かなり、後悔してたんですけど。


でも、今はありがとう、自分。


ま、それで1月6日にAmazonの購入履歴を見てみたら
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遅くても、1週間以内には配達されそうだったのに
翌日7日に見てみたら、シャーロックのブルーレイボックスだけ
配達日が未定に!!!

は、初めて見ました。配達日未定。

商品自体は、どうなっているのかと思ったら
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ひょえー、一時的に売り切れてる!!

本日見てみたら、2月2日に入荷予定になっておりましたが。
いやはや、相当注文が殺到したのではないでしょうか。
ですよね、あの金額だったらポチっとしてしまいますよね。
(と、自分の行動を正当化)


という訳で、今のところ私の手元には2月3日に届くよーというお知らせが
きております。

ポワロとシャーロック。

もしかしたら、名探偵を一気に注文したことで、シャーロックの機嫌を
損ねてしまったのかもしれない、
なんてぼんやり考えている今日この頃です。
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# by yui_usakame | 2016-01-22 22:41 | CD・DVD・映画 | Comments(0)

2015年の美術展

2015年は、我が人生で一番美術館へ足を運んだな、と。
はて、一体どのぐらい行ったんだろうか?と思いカウントしてみました。

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33の展示会へ行き、うち10展は2回以上行っている
という結果が出ました。

2回以上というのは、展示替えがあったから、もしくは内容が好きすぎて行ってしまった
ということであります。

なんとなく、すごいことになってそうだな、と思ったのは
購入した図録の冊数でして。
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図録を収納するために購入した50Lの折りたたみコンテナが
すでに、こんなに埋まっているという。2015年に購入した図録だけで。

でもでも、図録って一期一会じゃないですか。
ここで逃したら、めったにはお目にかかれないのが多いじゃないですか。
と、言い訳。

展示を見終って、興奮したまま売店行きまして、一期一会をふりかざしまして
グッズや図録を購入する、というのが毎回の流れでして。
でも、でも、全部は購入してないし!我慢したし!!

それにしても幸せな年だったな、と。
こんなにも興味を惹かれる展示が多かったということで。

この中から、自分が好きな展示を選ぼうかとも思ったのですが。
好きな展示が多すぎて、選べない......


今までの展示とは、少し、いやかなり違うイメージを受けたのは
『ルーシー・リー』展と『ヘレン・シャルフベック』展。

この2つは、展示されている作品が全て一人の人物が作ったもので
構成されていました。
最初から最後まで、1人だけの作品で構成されている展示を見たことが
今までなかったものですから。

まるで一人の人物の歴史を、作り上げた作品を通して見るような
そんな感じだったのです。

ヘレンさんは1862年、ルーシーさんは1902年。
生まれは40年違っているものの、女性芸術家として道を確立し、
戦争を乗り越えたという共通点。

今以上に、芸術家として生きていくってことが大変だった時代なのでは
ないかと。
戦中・戦後は日々の暮らしが最優先で、芸術に関心を持っている人たちが
少なくなっていたと思われるのに自分の道を歩み続けた。
ただ、ただ、すごい人たちがいるなぁ、と。


長年、見たいと思っていた鳥獣戯画が見られ、想像以上に絵が大きかったのと
甲巻と同じぐらい、乙巻が個人的な好み満載だったのが嬉しかったです。
そうそう、日本に居ながら兵馬俑が見られたのも嬉しい驚きでした。
全体的に、どのぐらいの総量だったんだろうか!と。

大きさでいえば、ボッティチェリとルネサンス展の横幅5メートルにも及ぶ
フレスコ画《受胎告知》も見られて嬉しかったなぁ。
よくぞ、持ってきてくださった!!と。
写真は、こちらのページの第5章にあります。その大きさがお分かりいただけるかと。

あぁ、もっと1つ1つの展覧会について色々と書きたい。

今年は、1つの展覧会へ行ったら、ちゃんとブログに書こう。
なんて夢を見ている今日この頃です。
(すでに2つ行ったのに、書く気配が全くみえないけれど)
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# by yui_usakame | 2016-01-17 20:48 | 美術展 | Comments(0)

地球ドラマチック 『世界最古の“コンピューター”』⑥

ついに、ついに最終回でございます。


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ようやく全容を現した、古代ギリシャのコンピュータ。
では、いったい誰が2000年前に作ったのでしょうか?

「作者については、機械自体にヒントがあるはずだと考えました」


イギリスに居るフリースとカナダのジョーンズは、背面の文字盤に刻まれた月の名前に
注目しました。

「ギリシャの都市国家は、それぞれが独自の暦を持ち、月の名前も都市によって
 違いました。
 ここには、まずラノトロピオス、ドデカテウス、3つめにプシドレウス。
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 そしてフィオニケオス。 暦の最初の月です」
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「これらの名称は、いずれも古代コリントスの暦で使われていたものです。
 つまり、この機械はコリントス、またはその植民地、例えばシチリア島のシラクサから
 来たに違いありません」
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シチリア島のシラクサはギリシャのコリントスからの移住者が築いた都市国家です。
ギリシャの植民地で紀元前3世紀から4世紀にかけて繁栄しました。

天文学史学者 アレクサンダー・ジョーンズ
「注目すべきは、シラクサが”ある人物”の縁の地だったことです。
 古代ギリシャが誇る偉大な科学者アルキメデスです」

天文学者 マイク・エドマンズ
「アルキメデスは天文学の分野では月までの距離を計算し、数学では円周率や球体の
 体積の計算法を編み出しました」

数学者 トニー・フリース
「アルキメデスほどの頭脳がなければ、”アンティキテラ島の機械”は作れません。
 アルキメデスはスクリューを使って、船の底から水を掻き出す装置や、
 敵の船を巨大な鉤で掴んで転覆させる兵器を発明しました」


紀元前3世紀、アルキメデスはシラクサで暮らしていました。
その頃、ローマはイタリア南部に勢力をのばしていたため、シチリア島の要衝シラクサは
ローマ軍との戦いに備えていました。
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紀元前214年、マルケルス将軍率いるローマ艦隊がシラクサを包囲します。
シラクサは、アルキメデスが考えた兵器でローマの船を転覆させるなど抵抗を続けました。

しかし2年後ついに陥落。

マルケルス将軍は兵士たちに決してアルキメデスを殺してはならない、と命じました。
しかし、ローマの兵士は地面に図形をかく老人がアルキメデスであることに気付かず
連行を拒んだため、アルキメデスを刺殺してしまいました。


シラクサは略奪され、戦利品はローマに運ばれました。
この時、マルケルス将軍はアルキメデスが持っていた2つの機械を自ら持ち帰ったと
されています。

これが”アンティキテラ島の機械”の原型ではないかと考えられています。


150年後。
ローマの政治家キケロは、マルケルス将軍の孫の家を訪れた際、アルキメデスの作った
機械を目にした、と書き記しています。

「アルキメデスは異なる速さで動く5つの惑星の運行を1つの装置で正確に表す方法を
 編み出していた。
 現実の日蝕が、この装置で計算したとおりに起きたのだ」

天文学者 マイク・エドマンズ
「さらに大きな疑問が浮かびます。
 世界最古のコンピュータを生み出した古代ギリシャの技術は、なぜ継承されることなく
 歴史の舞台から消えたのでしょう?」

多くの歴史家は古代ギリシャの衰退とローマ帝国の崩壊によってギリシャの知識や
技術は東方に流れ、のちにイスラムの世界に受け継がれたと考えています。

マイケル・ライトも”アンティキテラ島の機械”の技術を継承したのはイスラムの科学者だった
と考えています。

「1983年 博物館に天体観測用の装置が持ち込まれました。
 レバノンあたりのもので、年代は紀元520年頃。我々が知る限り
 ”アンティキテラ島の機械”に次いで2番目に古い歯車付装置です。
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 背面の歯車は、この円盤と連動して月の満ち欠けを表示します。
 これが新月」



天文学者 マイク・エドマンズ
「歯車の技術はイスラムの世界に伝わったあと、北アフリカのムーア人による
 スペイン征服をへて13世紀ごろ再びヨーロッパに紹介されたのです」


そして14世紀に始まるルネサンス時代。
新たな装置が登場しました。時計です。
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時計は”アンティキテラ島の機械”で使われた歯車の技術を元にしたと考えられます。


”アンティキテラ島の機械”は、もともとずっと大きなものだったはずです。
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古代ギリシャの技術者たちは、それを数世代かけて小型化し最後は小さな箱に
おさまるほどのサイズにすることができたのだと考えられています。


「この機械は小さく、軽量で持ち運びが簡単でした。
 天文学の知識の、ほぼすべてが凝縮されていました。
 万物の理論が収まった、この小さな箱は古代のノートパソコンだったのです」

天文学史学者 アレクサンダー・ジョーンズ
「2000年前、古代の科学者が作った”アンティキテラ島の機械”は見事に完成された
 ものでした。
 機械の背面には月の軌道を追い、蝕を予測する暦が取り入れられました。
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 そして前面には宇宙が再現されていました。太陽と月と、5つの惑星が複雑に調和しながら
 天空を舞うのです。その洗練された作りは、まるで古代の科学者が自分たちの才能の前に
 立ちはだかるものなどはない、と主張しているかのようです。
 これこそ古代ギリシャの知の極致といえましょう」

数学者 トニー・フリース
「ギリシャは現代の基礎となる美術や建築、文化を生み出しました。
 それだけでなく、先端技術の発祥の地でもあったのです」


2000年の時を隔てて起きた2つの嵐。

1つめは、紀元前70年頃。
古代ローマの巨大な船を襲い、財宝ごと海の底に沈めました。

2つめは、1900年。
強い風が、海綿取りの漁師の小舟を人気のない島の沖合へと導きました。

2つの偶然が重ならなければ、”アンティキテラ島の機械”は永遠に発見されなかったかも
しれません。
この発見によって、私たちは古代文明で花開いた驚くべき叡智を知ることができたのです。


THE WORLD'S FIRST COMPUTER(2012)


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番組にも出ていたマイケル・ライト氏が”アンティキテラ島の機械”レプリカを
動かしている動画がありました。




時計の内部って、素人ながらに見ていても美しいなと常々思っていましたが
時計の原型も複雑で、美しいものだったとは。
今のような計測機器がある訳でもないのに、古代の人々の観察眼と、考え抜く力、
そして形にしようと熱意に驚くばかりです。
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# by yui_usakame | 2015-10-12 21:36 | てれび | Comments(0)

地球ドラマチック 『世界最古の“コンピューター”』⑤

から続いております。

今回を含め、あと2回で終了予定です。


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数学者 トニー・フリース
「ライトの発見は見事でした。223枚の歯を持つ大きな歯車の上に別の小さな歯車があり
 そこに1本のピンが刺さっていたのです」


「からくりは、こうです。装置の背面近くに歯車があって、ここに細長い溝のようなスロットが
 見えます。次にここです。スロットの中に見える丸い影、ピンの跡です」
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「ライトは、さらに決定的な発見をしました。ピンの付いた歯車とスロットのある歯車の軸が
 ほんのわずかズレているのです。
 片方の歯車が一定の速度で回ると、もう片方は早くなったり遅くなったり、速度を周期的に
 変化させます」


変化を繰り返す月の運行は、小さなピンとスロットによって再現されていました。


「私の模型でお見せしましょう。
 今、ピンは歯車の中心に近い方にありますので歯車は速く動きます。
 そして、今、見てください。ピンはスロットの外側に移動しました。
 すると、歯車の回転は遅くなります。月の運行速度の変化が、これで表せるのです」
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月の軌道について、もう一つ問題がありました。


「月の軌道は完璧な円ではなく楕円です。
 しかも軌道そのものが9年周期でゆっくり回転しています。
 私はメトン周期とサロス周期を取り入れることで、古代ギリシャ人は月の軌道が
 一年間でどれ位回転するのかをはじき出していたのではないかと考えました。
 答えは一年に0.112579655回転。
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 ですが、これほど細かい数値を この機械は割り出すことができたのでしょうか?
 月の軌道の回転を、どのように歯車で再現したのか。私は考え続けました。
 
 そこで27枚の歯を持つ歯車が起点になっていると考えました。
 27の2倍は54。以前、ライトが53にこだわり、私が54に修正した、あの数字です。

 そしてある時、一瞬にして目の前がひらけたのです。

 アテネに向かう機内で、あれこれ計算していました。
 歯車の歯は27枚だと分かっていたので、27を入力してみました。
 結果は大きすぎました。

(どうやら0.004248288という数字を27で割ったようです。この数字は一体???)

 26ではどうか?と思い入力すると、今度は小さすぎました。

 私は数学者でして、数学者と言うのはおかしな発想をするものです。
 私は26.5を入力してみました。

 すると、結果はドンピシャリ。

 0.112579655。小数点第9位まで一致します。
 稲妻に打たれたかのようでした。26.5の2倍は53。
 ライトが53にこだわったのは、正しかったのです。

 ようやく53枚の歯を持つ歯車の謎が解けました。
 背面にある223枚の歯の歯車を、9年周期で回転させ、さらにピンとスロットで
 月の速度の変化を再現するのです」
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 「私たちはこれまでの研究で19、127、223、そして53といった素数を手掛かりに
 突き進んできました。そして、ようやくすべてが1つに繋がりました。
 長年厚いベールに覆われ誰にもわからなかった歯車の謎を解明することができたのです。
 とても信じられないことです」
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# by yui_usakame | 2015-10-12 18:55 | てれび | Comments(0)

地球ドラマチック 『世界最古の“コンピューター”』④

から続いております。



研究者たちの前には、さらに切迫した課題が立ちはだかっていました。
背面にある大きな歯車。その歯の数が何故222または223なのか?を解明できずに
いたのです。

「新たな手掛かりを求めていました。そこで注目したのが表面に刻まれた銘文です。
 肉眼では読み取れない、これらの文字は一体何を伝えているのか?
 そんなとき、新たな撮影技術の存在を知りました」

「それは高度な画像処理によって表面の細部を映し出す最新鋭の技術です。
 ロンドンのナショナルギャラリーでは、この技術が絵画の研究に使われていました。
 ハルツの作品です。コンピューター上で仮想の照明をあてると、作者が、どのように筆を
 動かしたのかがハッキリと浮かび上がりました。
 これはまさに我々が必要とする技術でした」
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「撮影装置の開発者が、様々な角度から光をあてながら写真を連続して撮ってはどうか?と
 提案してくれました。
 50個ほどのフラッシュを並べたドーム型の装置に”アンティキテラ島の機械”を入れて
 撮影しました。」
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「その後、画像処理を施して色や質感など余計な要素を取り除き表面の本来の姿を
 浮き上がらせたのです。」

「それはゆうならば、古代の文字がこちらに向かって飛びだしてくるような感覚でした」


研究は、新たな局面を迎えました。

宇宙物理学者 クセノフォン・ムサス。
「シグマ、カッパ、ガンマ。ほら、ここだ」
「どうゆう意味だい?」
「223だよ」
「223だって?!」
「そうだ。あの下の行だよ」
「間違いないか?」
「あぁ、間違いない」


223とは、歯車の歯の数なのでしょうか。
そこに新たな情報が飛び込んできました。
今まで見落とされていた破片が博物館の倉庫で発見されたのです。

研究者たちは、これを破片Fと呼び背面の目盛板の一部だったと推定しエックス線写真を
撮影しました。

「破片Fが背面にある目盛板の一部だった、と分かった時は胸が高鳴りました。
 そして四重の螺旋になっている目盛の正確な数を知りたいと思いました。
 最新のプログラムに全てのデータを入力してみると、目盛は220から225だという
 結果がえられました。私は223に違いないと確信しました」


「223という数の意味を求めて大英博物館へ向かいました。
 古代ギリシャの黄金期より300年前の、紀元前7世紀。古代バビロニアは、
 すでに高度な天文学を確立していました。当時の銘板に答えが記されていました。
 223とは、古代バビロニアで考え出された18年周期を意味していたのです。
 
古代バビロニア史 ジョン・スティール
「バビロニア人は蝕(しょく)の周期を18年周期、つまり223か月と捉えました。
 今日(こんにち)サロス周期と呼ばれる暦で、日蝕や月蝕が223か月ごとに繰り返す、
 というものです」

「ではバビロンの王は蝕を事前に知って、どうしたのでしょうか?」

「蝕は不吉な前兆でしたので、王は退位し代わりに犯罪者や、それに類するものを王座に
 つかせました。
 この銘板には、代理王が王座に就く儀式が刻まれています。ここに、代理王は不吉な
 ものを一身に背負ったとあります。
 最悪な時期が過ぎると、代理王は殺され本物の王が再び王座に戻ったとされています」

「代理王が死んだならば前兆は正しかった、ということですね」
「そうゆうことです」


ようやく明らかになった背面の歯車の秘密。
歯の数は蝕の周期を表す223。
つまりこの機械は日蝕や月蝕を予測する機能を持ち合わせていたのです。


「この機械の目的は未来の蝕を予測することだったのです。
 何と優れた発想でしょう。時間の概念を具体的な運動に変換して数十年後の結果を予測し
 表示するのです。要するにこれは、人類が初めて創作したコンピュータなのです」


歯車はコンピュータを動かす、いわばプログラムでした。
では出力データは、どこに表示されたのでしょうか?
ヒントは破片Fにありました。


「破片Fのエックス線写真は、一見大した情報がないように見えました。
 しかし深い層に降りていくと目盛が浮かび上がり、さらに微かな文字が見えました」
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「古代エジプトのヒエログリフに似た文字で、私はこれをグリフと呼びました。
 グリフは蝕の予測に違いありません。
 私はまず、最初の文字がシグマだと気づきました。英語のSにあたりセレーネ、つまり
 月の女神の略です。これは月蝕を意味していると思いました。
 次にエートの文字に気付きました。英語で言うHで、太陽の神ヘリオスのことです。
 つまりこれは日蝕です。
 次の記号には苦労しました。錨の形をした、この記号です」
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「ギリシャ占星術に関する本を調べてみると膨大な量の記号がありました。
 そこに、たまたまこの記号を見つけたのです。
 それはオラ、つまり時間の略でした。

 つまりこの機械は蝕の日付を予測するだけでなく、その時間まで計算したのです。
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 針が目盛に沿って動くと、ここでちょうど月蝕になります。この月には日蝕。
 次の月には月蝕、というようにね。
 我々はインターネット上で情報を共有し、研究をつづけました。
 するとアテネに居たビザキスが「色は黒」という文字を見つけました。

 トロントのアレクサンダー・ジョーンズはさらに「色は炎のような赤」という言葉を発見しました」

天文学史学者 アレクサンダー・ジョーンズ
「この機械は数十年後の蝕と、その日時を予測するだけではありませんでした。
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 影が進む方向や、光の色までをも予測する極めて高度なものだったのです」


「アテネで見る皆既月蝕です。月蝕や日蝕は古代の天文学者を魅了しました。
 しかし、ほとんどの人にとって、それは恐ろしく不吉なものでした」


蝕の周期は、機械の背面にあるサロス周期目盛板に表示されました。
針を動かすのは蝕の周期を表す223の歯を持つ歯車でした。
しかし、新たな疑問が浮かび上がりました。

月の軌道は楕円です。
速度は地球に接近するほど早く、遠くなるほど遅くなります。
この動きを、どのように再現していたのでしょうか?
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# by yui_usakame | 2015-10-12 16:54 | てれび | Comments(0)

地球ドラマチック 『世界最古の“コンピューター”』③

から続いております。


古代の人々は月の満ち欠けを頼りに暮らしていました。穀物を植えたり、宗教行事を
行ったりする時期、そして戦争のタイミングまで月の満ち欠けから判断していました。


天文学史学者 アレクサンダー・ジョーンズ
「127という歯車の歯の数も重要な手がかりでした。新月から新月までの1朔望月は
 およそ29.5日。一方、月の公転つまり月の満ち欠けを考えると月が地球の周りを
 単純に一周する周期は27.3日です。古代の人は、メトン周期でいう1周期、
 すなわち19年の間に月が254回公転することを知っていました。
 しかし、それだけの歯を刻むのは大変です。そこで254の半分127枚の歯を他の
 歯車と連動させることにしたのです。
 プライスは127枚の歯が月の公転を表すための工夫だったと確信しました」


「127と19。2つの素数がいずれも重要な意味を持つことが分かりました。
 20年間にわたる研究の末、プライスは機械の全容を明らかにしたと考えました。
 しかし大きな謎が残されていました。背面にある歯車です」
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「歯の数は222か223で、その役割は分からないままでした。
 何としてでも内部を見たいと思いました。

 ある日、科学専門誌を見ていると金魚を映した三次元のX線写真がありました。
 別の写真では、イナゴが体内の細部まで映し出されていました。

 この撮影技術を使って、機械の内部を三次元で見ることができないものか考えました」


フリースは立体的なX線撮影の技術を持つ会社に協力を仰ぎました。
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「撮影には被写体をゆっくり回転させX線を3000回ほど照射します。
 その結果をコンピュータで三次元に変換します。こうして立体的な画像が得られるのです」

「最初の画像が現れたとき、誰もが息をのみました。
 見たこともない光景です。まるで歯車が、海の底から次々と浮かびあがってくるようでした」

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(映像ですと、もっと細かく見せてくれて、とても綺麗だったのですが。
 残念ながら再現できませんでした。本当に浮かび上がるという表現がぴったりでした)

「この画像を手掛かりに、より本格的な研究に乗り出すことができました。
 内部の構造を把握するため、私はまずコンピュータグラフィックスで再現してみました」

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「ほんのわずかな空間に、これだけのものが詰まっているとは驚きでした。
 歯車はお互い触れそうな距離にあり、見事な層をなしています。その数は27個。
 本来は恐らく50個以上あったと思われます。最大の謎は、これまで見落とされていた
 背面の歯車の役割です。歯の数は222か223の、どちらかです。
 223と言えば、プライスが既に発見した19と127と並ぶ新たな素数です。
 研究チームは、これらの奇妙な数を糸口にいよいよ、この難題に取り組もうと
 していました」


プライスたちの研究チームには、一人のライバルがいました。
ロンドンで25年間独自にこの装置の研究に取り組んできたマイケル・ライトです。
ロンドン科学博物館の学芸員だったライトは楽器から機械仕掛けの古時計まで、
あらゆる機械の仕組みを研究しています。
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アンティキテラ島の機械も作り手の視点から徹底的に調べてきました。

これまでの研究でアンティキテラ島の機械は全体が木製の箱におさまっていたことが
分かっています。

そこでライトは箱型の模型を作り、側面のハンドルで歯車を回せるようにしました。
この模型には、ライト独自の考察が加えられています。
箱の前面に天体の軌道を表示する複雑な天体観測機を設置したのです。

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「古代の人は、天動説を信じていました。中央の、この丸い部分が地球を表し
 すべてが(地球の)周りを回っていました。
 動きが最も早いのは月で、一番手前の針で表しました。
 昔の人は毎晩、夜空をテレビのように見ていたのでしょう。
 彼らは私たちよりもずっと天体を理解していたのです。
 古代の人々は月を基準に暮らしていました。そのため、月に支配される一か月と太陽に
 支配される一年とを上手く調和させる暦が必要でした。
 それが、この装置に組み込まれていたのです」

ライトは、さらに53の歯を持つ歯車にも注目しました。
古代の人は、どのようにしてこの半端な数の歯を刻んだのでしょうか?

「53が54よりも難しいということは決してありません。
 古代ギリシャの職人は、まずこうした金属の薄い板を金槌と鑿で円に切り取りました」
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まず、円を六等分し印をつけます。
次に、6つの区分を9等分すると54になってしまうので、8と6分の5という半端な数字で
分けていきます。

「53枚の歯が出来ました。このまま模型に使います。
 古代の職人は、この作業を30分ほどでこなしていたでしょう」

(なぜ、30分ほどと思ったのかは少々ナゾではあります)

一方、CGを使って機械を再現したフリース(数学者)はライトがこだわる53という数字に
納得できずにいました。

「53。なぜ53なのか。この半端な素数は何の意味もないように思えました。
 一方54は2で割ることができ、3でも複数回割れて遥かに扱いやすい数です。
 私は54が正しいと思いました。しかし、それは大きな誤りだったのです」

この間違った判断が、のちのちまでフリースを悩ませることになります。
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# by yui_usakame | 2015-10-12 16:18 | てれび | Comments(0)

地球ドラマチック 『世界最古の“コンピューター”』②

①は、こちらです

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「注目したのはイギリスの物理学者デレク・デ・ソラ・プライスの研究です。
 プライスは1950年代に初めて この金属の物体を本格的に調べました。
 そしてエックス線写真を使い、合計で27個の歯車が組み込まれていることを
 突き止めました。実に複雑な構造です」
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「プライスは初めて歯車の歯の数をかぞえた人なんだよな」
「手作業で歯車の輪郭をなぞって数えたんだ。だから正確さに欠けたのも仕方がない」


エックス線写真では歯車が重なって見えてしまうため作業は難航しました。
それでもプライスは歯の数に謎を解くヒントがある筈だと考えました。

「そして、とうとうある歯車に127枚の歯があることを突き止めたんだ」
「235という数も発見した。いずれも古代の天文学に関係する数字だ」


127の歯がある歯車は、月の動きを再現するためのものだったという説をプライスは
立てました。

数学者 トニー・フリース
「プライスは発見の重大さに夜も眠れなかったことでしょう。
 2000年前に、この機械が本当に存在したならば西洋の科学技術の歴史そのものを
 書き換えなければならないからです」


もっとも創造性に満ちた文明の1つを生み出した古代ギリシャ。
今から2500年前、人々の思想に大きな変化をもたらし、のちの18世紀の産業革命に
匹敵するほどの技術革新を成し遂げました。

紀元前5世紀、絶頂期を迎えた都市国家アテネは、その輝かしい栄光を美しい彫像や
建造物によって表しました。
アテネを見下ろすアクロポリスの丘に築かれた巨大なパルテノン神殿。
守護神アテナに捧げられたものです。

古代ギリシャ人が好んだ公開の場での討論や演説は、民衆を対象にした演劇文化に
発展しました。
14,000人を収容するエピダウロスの古代劇場。
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音響に優れ、舞台上の微かな音でも最後列まで響きます。


古代ギリシャ人は天文学を数学の一部として発展させました。
天体までの距離を計算し、幾何学的に把握していたのです。


フリースたちの研究チームは古代ギリシャの人々が天文学と数学を融合させ、歯車で
天体の動きを再現したと考えました。
さらに、その目的は月の動きの解明にあったと推測しました。

天文学史学者 アレクサンダー・ジョーンズ
「月は重要で、宗教行事の日取りも月の満ち欠けで決めていました。
 うしろのパルテノン神殿でもそうでした」


プライスが発見した235という数字が重要な意味を持ち始めます。

「古代の人は1朔望月、つまり新月から次の新月までの周期がおよそ29.5日だと
 知っていました。ところが1年は12か月なので、これを12倍すると354日です。
 つまり月を基準にした1年は、太陽年 太陽を基準にした1年よりも11日短いのです。
 しかし古代の人は同時に19太陽年が235朔望月と、ほぼ等しいことも知っていました。
 つまり19年を1つの周期と考えれば、月の暦と太陽の暦はピッタリ一致するのです。
 プライスにとって、これは最初の突破口でした」

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機械の背面上部には235個の目盛が刻まれた文字盤の跡がありました。
19太陽年を一つのサイクルと捉えるメトン周期です。
ここにメトン周期の目盛が刻まれていることは、何を意味するのでしょうか?
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# by yui_usakame | 2015-10-12 14:30 | てれび | Comments(0)

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