カメがウサギにドンブリ勝負

山種美術館 『江戸絵画への視線展』 ②

山種美術館で開催中の≪江戸絵画への視線―岩佐又兵衛から江戸琳派へ―展≫
ブロガー内覧会へ参加させていただきました。
学芸員の水戸さんの説明を受けつつ、じっくり作品を堪能。
写真はブロガー内覧会での写真であり、美術館の許可を得て撮影されたものです。

全体図を撮影したつもりがしてなかったのが、
酒井抱一≪菊小禽図≫部分 山種美術館所蔵
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鳥は横から描かれることが多いが、あえてお腹を見せている様子が
非常に可愛らしい、と。鳥はルリビタキだそうで。

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菊は種類に応じて描き方を変えているとのこと。

十二か月、それぞれの月に花と鳥を合わせるのは月次花鳥(つきなみかちょう)と
呼ばれるもので、もともとは歌人・藤原定家が制定したもの。
ただ、酒井抱一は踏まえてはいるものの定家の組み合わせを大胆にアレンジしている
そうです。

酒井抱一は植物が好きで向島百花園にも関わりがあった、と。
(Wikipediaによると、百花園と命名したのが抱一と書いてありました)
植物そのものに対する関心の高さが、描き方に良く出ているとのこと。

鳥も可愛いけれど、私は葉っぱの描き方が大好きです。
何とも言えない色合いで。


酒井抱一≪飛雪白鷺図≫ 山種美術館所蔵
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葦と鷺というのは秋から冬の光景を描く際の一つの伝統的な主題に合わせたもの。
しかし、どちらも藤原定家の十二か月には出てこない、と。
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しぶきのような、粉雪のような表現方法を酒井抱一は好んで描いたそうで、
じっくり近寄ってみてください、とのことでした。
確かに何か吹き付けたように盛り上がっています。
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私は、この白鷺が大好きで今回の展示ではNo.1の可愛さだと思っておりますが
いかがでしょう??


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酒井抱一≪秋草図≫ 山種美術館所蔵
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この葉っぱの描き方も好きです。うっとり。
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左:酒井抱一≪秋草図≫ 山種美術館所蔵
右:酒井抱一≪月梅図≫ 山種美術館所蔵

月と植物を描くときには、抱一は必ず植物越しに月を描くのが基本パターンとのこと。
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ほうほう、なるほど。

説明をしてくださった水戸さんの先輩は、これを”抱一すだれ効果”と名付けられた
そうで、多くの作品でこのような表現が見られるそうです。


続いては、琳派にとっては欠かせない主題である”伊勢物語”を主題とした作品。
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左:鈴木其一≪伊勢物語図(高安の女)≫ 山種美術館所蔵
右:酒井抱一≪宇津の山図≫ 山種美術館所蔵

図様は抱一や其一のオリジナルではない。
酒井抱一は尾形光琳を研究対象のように見ていたことが最初はある。
まず光琳の作品を悉皆(しっかい)調査し、調査で分かったことを今度は
印や落款を集めたインク(?)という形で出版。

そして光琳が亡くなって100年経ったときに百回忌を行ったとのこと。
百回忌に合わせて遺墨展(いぼくてん)つまり展覧会を開く、これはまさに今私たちが
没後○年□□展ということをやっているのと同じこと。
学芸員の大先輩と言うことが言えます(ここで、聞いていた皆さんから笑いが)

なおかつ、この展覧会に出品されたものを中心に光琳百図という、まさに図録を
出しています、と。(まさに今の展覧会の方式ですねぇ!)

この光琳百図の中に、この2点と同じ図柄を見ることができる。
抱一は実際に光琳の作品を調査し、図柄として写し、それを元に作品を描いている。
つまり、この作品は単なる伊勢物語というだけではなくて光琳から抱一へ、いわゆる
琳派の私淑(ししゅく)による継承というものを象徴するものである。

光琳の光琳百図があって、抱一の作品があって、さらに其一の作品があるという意味で
この其一の作品も琳派の私淑と言う名の継承を象徴する作品である、と。

なるほどなぁ、ただ伊勢物語を主題とした絵を並べてあるだけではなかったんだなぁ。
いやぁ、メモにカタカナでイボクとかシシュクと書いてあって、今回書き起こすにあたり
調べて、あぁ、こうゆう漢字で、こうゆう意味なのか!!というのも勉強になりました。


近年、山種美術館所蔵となった鈴木其一≪牡丹図≫
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鈴木其一も隠しても隠しても個性が出てしまう絵師。

酒井抱一の代作をやっていた、ということを(水戸さんが)学生時代に読んで
「なぜ代作って分かるのだろう?」と思ったけれど、確かに分かる。

なぜかというと、抱一に比べて鈴木其一は明らかに人工的につくったように描く。

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この牡丹自体の描き方は中国・明代あたりの花鳥画をもとに描いたものと
思われる。
ほわんとした柔らかな牡丹の表現や、葉っぱの表と裏側が複雑に入り組む様子を
みっちりと描くのが院体画(いんたいが)的な視点。

ところが、この絵には2つ面白いポイントがある。

1つは赤い牡丹。
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ちょっと不自然に感じませんか?
真正面にわざと描くという、このわざとらしさですね。
こうゆうことは抱一はしない、でも其一はするんですね。

鈴木其一は人工的な楽園のような空間を描いたものや、≪朝顔図屏風≫という
作品でも朝顔がこれでもか!という感じに真正面を向いています。
(ちなみに、この≪朝顔図屏風≫は9/10~サントリー美術館で展示されるようです)

あと、もう一つのポイント。
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普通、牡丹と言うのは花の王様と言われるぐらいなので、牡丹だけを描くが
この作品はタンポポがほっこり咲いている。

何気なく咲いているような草花に関心を持つのが琳派的。
宗達以来、草花好きですよね。蕨とか。
この辺が琳派色を出している。完全に院体画風にしないところが面白い。

鈴木其一は落款は多くあるが、何年に書いたという年記(ねんき)があるものは
本当に少ない。この作品には年記が入っている。
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これによると嘉永4年(1851年)に描かれている。

ただ少し困るのは1851年だと鈴木其一は56歳のはず。
しかし、ここに57歳と書いてある。
これは本人の間違いなのか、根本的に鈴木其一を考え直さなければならないのか
どちらかだと思われる。
これは近年に発見された作品なので、これから研究が進む作品と思われる。


と、またしても長くなりました。
他にも気になる作品があるので、後日書かせていただきたいと思います。
いやぁ、それにしても説明付で見られるって贅沢ですねぇ。しみじみ。







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by yui_usakame | 2016-07-16 23:11 | 美術展 | Comments(0)

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