カメがウサギにドンブリ勝負

美の巨人たち 国宝「鳥獣人物戯画」前編

今年4月28日(火) ~ 6月7日(日) 上野にある平成館で国宝・鳥獣戯画の
全巻が見られる
鳥獣戯画 京都高山寺の至宝】展が開かれると言うではないですか。

昨年、京都で公開された時は恐ろしいほどの待ち時間だったとか。。。
きっと、すごい大混雑なんでしょうねぇ。
でも、一生に一度ぐらいは本物を見てみたいしなぁ。。。ぶつぶつ。

ところで、東京での展示について

>「鳥獣戯画」については、全4巻の各前半部分が前期、後半部分が
>後期に展示されます。
>前期゠4月28日(火)~5月17日(日) 後期゠5月19日(火)~6月7日(日)

つまり、全てを見たい場合は、会期中に2回は詣でる必要があるようで。

でもですね、

>同時に、この4巻から分かれ、国内外に所蔵されることになった断簡5幅も集結。
>現存する鳥獣戯画のすべてをご覧頂ける機会となります。

全てを見られる、またとない機会なのですね。なんだか、わくわくします。
私だけでしょうか。
世界各地に散らばった至宝が、一堂に会す。わくわくします。
私だけでしょうか。

こだまでしょうか。


その前に、録画しておいた番組を見て予習をしておこうと思いまして
昨年10月下旬に「美の巨人たち」で放映された「鳥獣人物戯画 前編」を見ました。


てっきり後編も録画してる気になっていたのですが、録画しておりませんでした。
かなり、ショックです。なぜ録画しなかったのか、自分。

ですが、前編だけでも記録に残しておこうかと。


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京都・高山寺(こうさんじ)に数百年保管されてきた鳥獣人物戯画。
全四巻からなり、それぞれ10メートルほどの絵巻物。
現在は、甲丁を東京国立博物館、乙丙を京都国立博物館で保管。

2巻ずつ保管されているとは知りませんでした。


11種類ほどの動物が描かれており、作者も目的も全て謎。
右から左へ展開する絵巻は約50センチずつ広げ、自分が見た部分を巻き取りながら
先へ読み進んでいく、と。


文星芸術大学 日本画専攻主任教授の宮北さん登場。

「多種多様な線があって、その都度、恐らく色んな濃さの墨を工夫しながら描いているので
美しい墨の色とかタッチがどういうことなのか もの凄く学べる」とのこと。

様々な墨線により動物たちは多彩な表情を見せ躍動感溢れる場面を生み出している。

しかし全体を通して見ると気になる点があると、宮北さん。
「確実に前半と後半とて線の様子が変わっているな、と」。

甲巻の前半と後半では、なぜ筆致が違うのか?

【前半と後半に登場する蛙の違い】
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前半はサラリとした筆致、後半は かすれや濃淡を駆使しているとのこと。

その謎を解いたのが文星芸術大学の学長である上野さん。

「第一紙から第十紙(前半部分)の下の方にノコギリの刃のように半月形の傷が
ずっと連なってくる」
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「戦火を受けて傷がついたものと思われる。傷のない部分は別巻仕立て。
傷を受けた時点では二巻本だったことが分かる」

つまり甲巻は、もともとは前半と後半の二巻に分かれていた、と。
白い傷跡のある前半部分の巻物が火災か何かで一部破損したため、開くと一定の間隔で
新たな紙で補修された破損個所が現れる。
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前半と後半で筆致が異なるのは別々の絵巻だったからで、それを後の世で誰かが
まとめたため、境目で絵が途切れたと考えられる、と。

後半には、もう一つの切れ目が。
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猿が双六を担いでいるシーンの次が、まったく話が飛んでしまっている。

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学長曰く「絵巻物の場合60センチ前後の料紙を紙継(かみつぎ)で繋いでいくのですが、
その糊が100年経つと効力を失ってくる。きちんと表具直しがされていればいいのですが、
それを怠るとバラバラになって前後関係が乱れてしまうこともあり得る」。


甲巻がバラバラになったということは、甲巻がバラバラになる前に写した模本や、絵巻から
抜け出てしまった断簡によって分かってきたとか。

そこには現在の甲巻には存在しない場面が描かれており、たとえば双六を運ぶ猿たちの
先には、ゲームを楽しむ猿と兎の姿が描かれていた、と。
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絵巻物を写してくれた人たち、ありがとうございます。ううう。


さて、このように物語の一部が抜けてしまっていても、人を惹きつける絵巻物。
一体、どんな演出がされているのか?


手塚治虫が鳥獣人物戯画を見たときの言葉。

「漫画っていうのはどのくらい進歩したもんだろうと見たら
ちっとも変わってないじゃないかという。
何百年か前に全部やられてしまったっていう打撃を受けたんです」


漫画家ちばてつやさんが登場し、鳥獣人物戯画のどこが先駆的だったのか?を
語ってくれます。

「一つのエピソードが終わって次の話に行くときに、ちょっと自然のものを入れたり、
雲を描いたり、ざわざわという木の揺れを描いたりして場面を変えるという展開を
アニメーションでも漫画でもコマのめくりの時にやる」


さらに、ちばさんが注目したのが動物の口から出る線。
d0075206_2212428.jpg


「ここでこういうこと喋っているんだろうなと色々見ている人が想像してはめ込んでいく。
文字を書かなかったのに、これだけ表現力があるっていうことは私たちはすごい祖先を
持っているなと思う」

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場面展開の仕方、効果線、吹き出し。
現代漫画の発明と思われていた技が、900年も前に存在していたと。

全ては物語をドラマチックに見せるための仕掛けであり、いかに見るものを楽しませるか
考え抜いた表現だったとか。



さて、話は絵巻物が描かれた時代について。

鳥獣人物戯画が描かれた平安時代、貴族の台頭により階級社会が確立した社会で
絵巻は、その階級社会を風刺したものという説があると。

甲巻の主要キャラは兎と蛙と猿
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ある時は兎は溺れる猿をからかい
ある時は猿が蛙を打ち倒し
そして、ある時は蛙が兎を投げ飛ばす


京都国立博物館 名誉館員 若杉さん曰く、「役回りが平等なんですよ。
そして大きさも(平等)。蛙と兎が相撲取れるはずがないんですけど、この絵描きさんの
動物に対する眼差しは全く平等の意識を持っているということ」

恥ずかしながら、まったくそのことに気付いていなかった私。
そうだった、大きさ違うのに。もう、至極当然のように受け止めてしまっていたという。
やれやれ。。。


話を戻しまして。


絵巻は、現実の階級社会とは間逆の、まるでユートピアのような世界。
そんな夢物語は、僧正に御礼の品が送られる場面で終わっている。
ところが、物語の本来の結末は違っていた。

模本によると、絵巻はある動物の登場で終焉を迎えていたという。

それは蛙の天敵、蛇。


人間のように振舞っていた蛙たちは、たちまち本来の姿に戻り葉陰に逃げ込む。

作者はユートピアを一瞬で打ち消すような恐ろしい結末で、この物語を終えていた。
こんなに平等で平和な世界など実際にはありはしない。
所詮は夢物語だと言わんばかりに。


なんと、そんなドラマチックな終わり方だったとは。。。
そして、続きの巻も気になります。でも、録画してない。残念。

別の番組で鳥獣人物戯画について特集していたのは録画してあるので、
また時間があるときに見てみようと思います。
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by yui_usakame | 2015-02-09 22:46 | てれび

のんびり、のびのび、書きたいときは沢山書く。書かないときは、何か月も書かない。そんな、ぐーたらブログです。
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