カメがウサギにドンブリ勝負

映画 『8月の家族たち』

本日から公開の映画 『8月の家族たち』を観てきました。

平日の14時ごろスタートの映画館。
日比谷だったこともあり、上品なマダムが多かったように思われます。
約200席ある客席も、ほぼ満員。おそらく、かなり満員に近い満員。


決して、明るい内容の映画とは言えません。
題名に『家族』がつくとおり家族の話であり、そこには親子間、
姉妹間に横たわる事柄が、まぁ、色々と炙り出される訳で。


メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツ、ユアン・マクレガーなど
豪華な俳優陣の演技も勿論素晴らしいですが

何より、物語の流れが見事だ!と私は感じました。
畳み掛けるようなセリフの応酬、的を射すぎたセリフの数々。

あの家族の全てを知ってしまった今(大袈裟な)、もう一度落ち着いて
映画を観たら、「あ、このセリフに込められた意味は・・・」とまた違った視点で
観られる気がします。



という訳で、ここから先は完全なネタバレになりますのでご注意ください。









*****************************************************








何から書こう。


やはり、簡単なストーリーと相関関係から?


ある日、父親が失踪したという連絡を受けて長女と次女、そして母親の妹家族が
実家に集まります。


母バイオレット(メリル・ストリープ)には妹マティ・フェイがおりまして、
その妹さんの旦那さんがチャールズ。
マティ・フェイとチャールズの間には、リトル・チャールズ(はい、カンバーバッチ氏です)
という一人息子が。


バイオレットには3人の子供がおり、長女バーバラ(ジュリア・ロバーツ)、次女がアイビー、
そして三女がカレンという三姉妹。

次女のアイビーが実家の近くに住み、何かと両親の面倒をみていた模様。

三女のカレンはフロリダだったかな?で生活していて、婚約者を連れて実家に
戻ってきます。
バーバラには陰で「あれが彼女の”今年の人”ね」みたく言われてました。
つまり、とっかえ、ひっかえなんだな、と。その一言で納得。
まさか婚約者だとは思わなかったように見えましたが、どうでしょう?

さてバーバラはどんな人か?というと

1.夫が年若い女性と浮気。それが原因で、現在別居中。
  なぜか娘も知っており、浮気相手が自分と年齢が少ししか変わらないことまで
  知っている、という。

2.反抗期真っ盛りの14歳の娘に手を焼いている

というところに、

3.父が失踪。その後、溺死したことが判明。もしや自殺・・・?
  しかも、「原因の一端はあなたにある」と母親に言われてしまう。

4.長年、母親のバイオレットとは不仲。だが父がいなくなってしまった今、これからは
  病気の母親の面倒を誰がみるのか?どうすべきなのか?

5.次女が病気を患い手術を受けていたことが判明。
  姉妹なのに、一言も聞かされていなかったことにショックを受ける。
  しかも長年実家の面倒を見てきたのだから、この土地を離れるという突然の宣言。
  姉は面倒をみることを途中で放棄したのだから、文句を言われる筋合いはない、と。

  しかもしかも、従兄弟のリトル・チャールズとNYへ行くという。
  二人が付き合っていたことにも驚く。

6.自分の娘がドラッグを使用していることに一目(せいかくには、一嗅ぎ?)で見破った
  三女の婚約者。一緒にマリファナを吸おう、と誘った挙句に夜中の庭で娘に手をだそうと
  していた不埒者。

  それに気づいた住込みの女性が、婚約者にスコップで殴り掛かる勇ましいシーンあり。

  自分の娘のしでかしたことに驚愕するバーバラ。
  三女には、「自分の婚約者だけが悪いのではない。あなたの娘にも過失はあるはずだ」と
  息巻かれ言葉も出ない。
  
  旦那さんと、その件の流れで話し合いをしているうちに離婚になりそうな気配濃厚。

そんなことが重なったあと、さらなる事実が判明。


7.この映画、最大のネタバレとなりますが。

  叔父さんの息子、つまりバーバラの従兄弟であるリトル・チャールズが、なんとなんと
  実の弟だった、という衝撃の事実。
  それを叔母から聞かされ、揚句に、「あなたが(次女との仲を)止めて」と頼まれて・・・

長女って、、、長女って、、、いや、実際には長女という立場の人にだけに降りかかる
ことではありませんが、非常にヒリヒリする内容であります。

自分が40を過ぎ、まさにこれから起こってもおかしくない家族の状況。
さすがに、隠れた兄弟・姉妹はいないですが。たぶん。

もっと若い頃に観てたら、あんまりピンとこなかったかもしれないなぁ。。。

私は結婚していないので、そうですね、心情的には次女アイビーになりきって
映画を観てるところがありました。

え?

カンバーバッチ氏がアイビーの相手役だからではないのかって?

い、いえ違います。

リトル・チャールズは自分に自信が持てず見事なほど37歳に見えない
オドオドとした、つい守ってあげたい、と思ってしまうような男性でして。

非常に真面目で、親や周囲の期待に応えたいと思いつつ言動が伴わない、
そんな自分の姿に失望して、、、
だから、アイビーの「あなたは私のヒーローよ」というセリフに心底嬉しそうな
笑顔を見せたのでありましょう。

そして、アイビーのために自作の歌を披露するという。

い、いや。いいんですよ、素敵ですよ。
でも、母親のセリフから察するに最近靴屋の仕事をクビになっちゃったみたいだし、
どの仕事も長続きしないみたいだし、大丈夫かな、、、という。

いやぁ、真面目な青年だな、というのは登場シーンから溢れてました。
バスから降りてくるリトル・チャールズ。

気温42度の中、長袖のシャツの上に、ジャケットを羽織りながら父親に
近づく訳ですよ。

42度ですよ。羽織らなくても、よろしいんじゃないですか?!と。
お父さんだって、長袖の白シャツは着ていたけど、袖はまくってたよ。

まぁ、さすがに息子の髪がクシャクシャだったのは気になったみたいで
櫛を渡してましたけど。


でもねぇ、すごい息子が愛おしいんだな、というのが滲み出てるシーンで
ありました。
期待に沿えなくて、と謝る息子に「一度も失望したことはない」と一生懸命
励ますんですよね。じーん。。。

知的な”世紀の悪”を演じたかと思えば、「あー、こうゆう頼りない男性いそう」っていう
情けない役(ごめんね、リトル・チャールズ)までこなしてしまう演技。
さすが、カンバーバッチ氏。

いつもの素敵な低音ボイスは封印でしたが。
いや、あの低音ボイスじゃキャラとマッチしないもんな。

話を戻しますと。

叔父さんは自分の妻が、妻の姉の夫と不倫をしていた挙句、子供まで産んだのを
知りつつ、自分の子として育てていた訳ですが。

妻はバーバラに事実を告げた際、「夫は、その事実を知らない」と言い切った訳です。

いやいや、ちょっと待って、と。


この衝撃の事実を告白する前に、叔父さんと叔母さんが2人で言い争うシーンがあり
その時、叔父さんが「息子を愚弄することは、ベバリーを侮辱することだ」的な
発言をする訳です。

ベバリーというのは、妻の浮気相手であり、義理の兄のことですが
「自分は彼が大好きだった。その大切な人を葬ったばかりなのに」的なことを言ってました。

ここで「あれ?!いま、ものすごい大事なこと言ったよね?!」と思ったら、間髪入れず
告白シーンへ。絶妙な間隔で、告白シーン。

ちょっと「?!」と思わせといて、告白シーン。見事な流れでありました。


そうかぁ、そうだったのかあ。


今思えば、映画の最初の方に息子のリトル・チャールズについて叔父さんが
「彼は、ベバリーに似て複雑なところがある」って。2回ぐらい繰り返すんです。

叔母さんは大否定するんですけど。

こりゃ、完全に知ってたよな、って。

そんな叔母さんを観ていたらアガサ・クリスティの『春にして君を離れ』という
小説を思い出してしまいました。
内容は、まったく違いますが。でも、主人公の女性と、ちょっと重なる部分が
あるかなぁ、と。


少しは「実は夫は気づいているんじゃないか?」と思う瞬間があったのでは
ないだろうか、と。
でも、それを認めるのが怖い。それに、もしも夫が気づいているのなら必ずや
自分を責めるはずだ、と。
実の姉も、夫と同様に何も言ってこない。あの辛辣な姉が、こんなにも重大なことを
知ったら言ってこないはずがない。だから、夫同様に気づいていないに違いない、
という思いだったのかな、と。


でも罪悪感を抱えた叔母さんは、本当は愛おしいながらも、我が子の存在自体が
常に罪を思い出させてしまい、それでついつい息子に辛くあたってしまうのかも
しれない、と勝手に想像してみたり。

息子に寛大になれない妻に向かい「結婚して38年目。今後も息子を寛大に
受け止められないなら39年目はないぞ」的なことを言って、家をでてしまう叔父さん。

大きい。器が大きすぎます。

自分も義理の兄の人柄が好きだった。男の自分でも惚れて?しまうほどの人物だし、
その魅力に魅かれてしまった妻に、「彼ならば仕方ない」という気持ちがどこかにあったんで
しょうかねぇ。

男2人で、話し合ったことはないんだろうか。。。などと、色々と映画にはないシーンまで
想像してしまいました。


それにしても「自分は十分に罪をつぐなってきた、だから息子の許されぬ恋を止めるのは
あなたやって」って長女に頼む叔母さん。それ、すごいよなぁ。

バイオレットも凄いキャラだけど、この叔母さんも”隠れ凄キャラ”な気がして仕方ありません。


あぁ、長くなってしまった。
まだ書きたいことがあるので、また後日に。。。

では、ごきげんよう←ここは、朝ドラの影響大。


『8月の家族たち』について、其の弐も懲りずに書いてますので
宜しければ。。。
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by yui_usakame | 2014-04-18 23:59 | ―『8月の家族たち』 | Comments(8)
Commented by kusi2mama at 2014-04-21 09:07 x
私、この公開日を手帳にまでメモしておりました。
あらすじも調査済み。
で、地元の映画館チェックしましたら。。。。なんと。
中四国地方では上映館がないことを発見。なんてこと。
わざわざ大阪まで行かない。
アカデミー候補にもなるくらいなのに。この手の作品は、中四国では
人気がないのでしょうか。
ということは、DVD発売やレンタルまで待機、なんですね。
数か月待ちます。

Commented by yui_usakame at 2014-04-22 00:53
kusi2mamaさま

なんてことでしょう!!
採算がとれない作品と思われてしまったのか、はたまた上映料が
高いとか??(上映料なんてあるのか不明ですが、、、)

東京地区でも23区に行かないと上映してないし、
ものすごく上映館が少ないなぁ、とは思っていたのですが、、、

個人的には是非見た感想をお聞きしたいので、私も数ヶ月お待ちしております。
Commented by kuri2mama at 2014-05-12 09:53 x
こんにちは。少し前に上映予定をしつこくチェックしておりましたら。。。
地元での公開が6月半ば?から。この時期にたくさんの地方で公開されるようですね。もちろん、小さめの映画館です。ブルージャスミンもここなんですよ。これは今月中なので、ぜひ行きたいと思っています。
Commented by yui_usakame at 2014-05-12 22:29
kuri2mamaさま

ゴールデンウィーク前に、上映館拡大!と出てましたが
そうでしたか6月ぐらい、、、都内での上映は増えなかった
みたいだし、何でそんなに細々なんだろうか、と。

ブルージャスミン、もう公開なんですね。上映館調べてみようと
思います。
Commented by kuri2mama at 2014-06-20 20:20 x
今日、行ってきました。けっこうお客さんがいましたよ。2時間があっという間でしたね。ホント、濃い家庭騒動。。。。お母さん、すごすぎる。
観客に外国人のおじさまがいて、この会食シーンでの過激なやりとりや騒動で、クスクスと笑うのです。私たち日本人は、おかしいよなあ、とは
気づいても、「果たして笑ってもいいのか、ここで?」でございました。
ベネ氏はちゃんとチェックしました。チャールズくんの行く末が気の毒で仕方なかったです。
Commented by yui_usakame at 2014-06-21 12:44
kuri2mamaさま
ご覧になられたのですね!あの会食シーンは壮絶でしたよね。
あまりの迫力に笑う余裕がなかった私ですが、そうでしたか、
おじさまは余裕(?)だったようですね。
その後のチャールズくんが気になりますよね。
果たして真相を知るのか?それとも、彼は何も知らないまま・・・など
色々と続きを考えてしまうのであります。

ベネ氏出演『スモールアイランド』の日本語版DVD発売とか
『フィフスエステート』のオンデマンド配信&DVD発売とか
あるようですね。
いやはや、次から次と困ったものです。ふふふ←困ってない。

Commented by zebra at 2015-05-05 20:10 x
たったいま観終わりました。
ピックアップしたい場面が多すぎて困ってますが・・

やれやれ・・・傲慢身勝手な母親、でも案外 そうでもしないと気持ちが落ち着かない人なんだな~って思っちゃうんだな・・・これが・・・

「6.」についてコメントします。印象がありましたので

たしかにジュリエットの三女が言ってたように その子も問題はあったのは事実だ ・・
だから、ジュリアの長女はアビ娘を現場でビンタしたとおなじように
ジュリエットの三女だって 
劇中では描かれてなかったけど いくら男にだらしない三女もさすがに 恋人が責任がないワケじゃないのもわかってるから フロリダに帰宅してから 家族の見てないところでは激しく叱責してるはずだろうな。ビンタ浴びせるなり、「この大バカ!」と罵声あげるなり。

Commented by yui_usakame at 2015-05-05 22:41
zebra様

コメントありがとうございます。
家族それぞれに色んな感情が渦巻き、秘密にしておきたいこともあって、
でも母親が全てを曝け出そうとしているようにも見えましたが
家族を混乱させることで、自分が一番隠したかった秘密を守ろうとして
いたようにも思えたり。

zebraさんが書いていらっしゃる通り、三女は2人きりになったら婚約者を
罵倒しそうですよね。家族の手前、責任は婚約者だけではない、と言ったものの
自分の親戚になるはずの子に手を出そうとした、その気持ちが許せないのでは
ないかと思います。さて、その後一体どうなったのか・・・

ああなのかな、こうなのかな、と観た人それぞれに考えられる余地のある作品で
また観たくなってきました。

のんびり、のびのび、書きたいときは沢山書く。書かないときは、何か月も書かない。そんな、ぐーたらブログです。
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